ガソリンや軽油の暫定税率復活に伴い、燃料高騰に悩む道内運送業界が燃料の上昇分を運賃に上乗せする「燃料サーチャージ制」の導入に動き始めた。同制度は業界の窮状を救おうと、国が三月から導入を呼び掛けている。ただ、中小業者の多くは荷主に強く物言いができないのが実情で、どこまで広がるかは未知数だ。
青森県八戸市を拠点とする運送会社、三八五(みやご)流通の子会社、札幌三八五流通(札幌)は四月下旬、北海道運輸局に同制度の導入を申請した。全国では約三十社が申請しているが、道内では初めてだ。
サーチャージは、軽油価格(現在は一リットル百三十-百四十円台)が荷主との間で取り決める「基準価格」より上がった場合に、運賃とは別建てで燃料上昇分を加算する仕組み。航空業界などで導入されており、国土交通省は運送業界にも広めようと三月、普及に向けた運用ガイドラインを発表した。
ただ、荷主への法的拘束力はなく、制度適用は運送会社と荷主との個別交渉で決めることになっている。このため「荷主の立場が強い現状では、中小業者に広がるには時間がかかる」(道トラック協会)との見方は強い。
三八五流通も「五月から顧客への説明を始めたが、一回ですんなりと聞いてもらえるとは思っていない」(本社経営企画部)と慎重だ。
運送業界は一九九〇年の規制緩和を機に新規参入が相次ぎ、価格競争が激化。二〇〇五年以降に軽油が高騰したが、特に道内は長引く不況が足かせになり、ここ数年の価格上昇分を運賃に転嫁できた業者は全体の約三割にすぎない。
道内では札幌通運(札幌)も五月半ばにサーチャージを申請する予定。同社は複数の荷主の荷物を混載したトラックにも適用する新しい手法も検討しているが、「多くの荷主の理解を求めた上で一気に始めるか、荷主ごとに順次始めるかは調整中」と手探り状態だ。
サーチャージの総額は、走行距離を車両の燃費で割った数字に、燃料上昇分を掛けて割り出す。このため燃費の悪い車両が多い業者は金額が多くなり、ライバルに顧客を奪われかねないという実情もあるという。
(北海道新聞より引用)